アンティーク陶器の貫入やカフェオレボウルに入るポッチについて


アンティーク陶器の貫入 (ひび割れ、しみ、細かいライン)

当店で扱っているアンティークの陶器のディテール部分に「しみ、汚れ」または「細かいライン」があります、という説明文がつくことがあります。
この表記は、陶器に詳しくない方にもお分かりいただけるような感じで書いているのですが、これらのほどんどは、陶器用語で『貫入』と呼ばれているものです。

↓写真:貫入の一例

貫入とは陶器を焼いたときに生じるひびで、陶器(土)と釉薬との収縮比率の違いからできるものです。
陶器を焼きますと熱により、土、釉薬、両方とも収縮するのですが、素材が違うためその比率が違ってきます。
このため、釉薬に細かいひびが入ります。
新品状態では貫入が見えないのですが、どの陶器にも100%入っています。
使っている間に、この見えない貫入の間に食品の色がしみて、貫入が目立ってきます。
最近の焼き物は磁器が多い上、釉薬が発達していてこの貫入がなかなか目立たないものが多いのですが、100%貫入がない陶器は今現在でも生産が難しいと言われています。
特に軟陶器と呼ばれるタイプ(ヨーロッパで1950年代ぐらいまで一般的に作られていた陶器で焼く温度が低めの陶器)は貫入が目立ちやすいそうです。

東洋の、特に茶器では、この貫入をアンティークの味として容認していることが多いので、わざと貫入が入りやすいように釉薬を調整したり、墨を流し込んだりして貫入を目立たせたりもします。
ヨーロッパの陶器では、東洋の茶器のように狙って貫入を入れることはまずないのですが、古い陶器になればなるほど(使い込まれれば使い込まれるほど)、貫入が入っていることが多いので、アンティークのひとつの目安となります。



カフェオレボウルなどに入るポッチ&しみ


カフェオレボウルなどの陶器に小さなポッチがついていて、そこからしみが陶器に広
がっていることがあります。このポッチは一般的に3点支えのあと、といわれており、昔の焼き方でよくついてくる傷で、ダメージではありません。

↓写真:左/ポッチの一例、右/3点ゴタク

陶器を焼くときに、一気にたくさん焼けるように、陶器を重ねて窯に入れて焼いていたのですが、本当に重ねてしまうとくっついたまま取れなくなってしまいます。
ですので、陶器の間に、この写真のような3点ゴタク(英語でStiltsといいます。写真右。)を入れ、陶器を守りながら焼きました。
この足の部分が陶器を焼いている間に釉薬をはがしてしまうことがよくあります。
このはがれたところから、長い間の使用により食品の色が染みて、しみができます。
今現在では、この3点ゴタクはほとんど使われることはないので、このようなポッチが入っていない陶器がほとんどですが、このポッチが入っていることはダメージではありません。

 

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